コラム

記入者:湯坐麻里子

平成19年の4月1日から離婚時の厚生年金の分割制度が実施されている。

この「年金分割」,法律ができた当時は,質問を受けることが多かった。
さらには,
解説の原稿を書いたり,講師として講義したこともあったのだが,
離婚事件を担当していても,
婚姻期間が短かったり,さらには,自営業者だったりして意外と出番が少なく
私の中で「年金分割」はいつの間にかマイナー化していた
(もちろん,一応,事件を担当する中で説明はしているけど)

でも,最近,立て続けに年金分割の相談を受けたり,
それって誤解だと思うんだけど・・・という話があったりしたので
(はっきりいうと家裁の調停委員がミスリーディングしていた),
改めてここで整理してみる。

但し,わかりやすくする為に
大雑把な説明に止めるので,詳しくは,弁護士なり社会保険庁なりに
きちんと相談していただきたい。

〓〓〓〓〓〓〓国民年金と厚生年金

まず,年金分割というのは,厚生年金についての制度であって
国民年金についての制度ではない。
よって,自営業者の場合は普通は関係ない。

尚,公務員等共済年金制度についても年金分割制度がある。
(このあたりは各共済組合に要問い合わせ)

かなり大雑把にいうと,主に会社員とか公務員の制度である
しつこくいうが,これは無茶苦茶大雑把な言い方である。

〓〓〓〓〓〓〓年金分割って,具体的に何を分割するのか?

年金分割って,毎月受け取る年金のお金そのものを分割するのだろうか?

答えはNOである。

年金というのは,
年金の保険料納付記録に基づいて支給される仕組みになっている。

近時,話題になった「年金記録」問題も,この納付記録に関連する話である。
よって,なんとなく雰囲気は分かるのではないかと思う

(厳密な定義の違い等を説明し始めると
わけがわからなくなるので省略)

年金の支給額は,それまで保険料を納付してきた期間,金額によって変動する。
いくら納付すれば,いくら支給されるのか等細かい仕組みはさておき,

とにかく,
保険料をどう納付してきたか(保険料の納付記録)に基づいて
支給される年金額が計算される。

年金分割というのは,
この「保険料納付記録(法律上「標準報酬」という)」を分割する制度である。
年金のお金そのものを分割するわけではない。

〓〓〓〓〓〓〓「保険料納付記録の分割」って,どういうこと?

ところで,
「保険料の納付記録の分割って,だから何なのよ」とイライラしてます?
(ちなみに,私はそういう気質である)

例えば,
妻Aが夫Bの保険料の納付記録の分割を受けるということは
妻Aが年金を受けるに際して,
妻Aの保険料納付記録 + 夫Bから分割された保険料の納付記録 をあわせた記録に基づいて
妻Aの受給する年金金額が計算されるということである。

一方,夫Bが年金を受ける際には,
妻Aに分割された納付記録を除いた残りの記録にも基づいて年金金額が計算される。

その他,妻Aが年金を受けるには,
妻Bが受給資格期間を満たしている必要がある等,細かい話もあるのだが
ここではあえて省略。

〓〓〓〓〓〓〓年金分割による年金受給について,もう少し説明

まとめると,妻Aは
保険料の納付記録の分割を受ける。

夫Bの年金をもらう訳ではない。

従って,妻Aの年金受給開始時期は妻Aの受給開始年齢からだし,
夫Bがその後,死亡しても妻Aの年金受給額は変わらない。

保険料の納付記録の分割を受けた後の年金受給のあり方は
妻A・夫Bそれぞれ全く別々である。

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相当大雑把な説明のつもりだけどそれでも長くなってしまった
次回に,合意分割制度・3号分割制度,具体的な分割の請求方法等について書くことにする。